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エコサイクル(株)


 昨年、政府は「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、2050年までに温室効果ガス(CO2)の排出量を全体としてゼロにすると打ち出した。それにともなって大企業も脱炭素社会を目指し、取り組みを加速させている。そんな脱炭素時代に土壌汚染対策で環境負荷の低い工法を行っているのがオリックス(株)の連結子会社である「エコサイクル(株)」(東京都)だ。

低コスト、低CO2

常務取締役の落合昌喜氏

  同社の主な事業は汚染された土壌の調査や浄化。土壌を浄化する場合、汚染された土壌を掘って取り除くというのが一般的な方法だ。工期は短く、それほど高い技術は必要ない。しかし、この方法は一般的には取り除いた土壌を処分場まで運ばなければならず、その処分場も限られていることから、運搬、廃棄のためのコストが高額になるのが大きなデメリットだ。

 しかし、同社が行う原位置浄化では土壌処分は必要ない。バイオ浄化剤を主に使用するのだ。

「地中には様々な種類の微生物が生息しています。彼らの働きによって物質は分解され、土に戻る。私たちが使用している浄化剤はいわば彼らの“栄養剤”です。栄養剤を与えることによって彼らの動きを活性化させ、分解を促進させるのです」

 そう話すのは同社常務取締役の落合昌喜氏。

 掘削工事も行わず、土壌の運搬も必要ないためコストは掘削工事の約1/3程度、排出するCO2に及んでは約1/10に抑えることができるという。

 この高い技術が評価され、2017年に環境大臣賞を受賞し、他にも、同年、第10回日本バイオベンチャー大賞の近畿バイオインダストリー振興会議賞なども受賞している。

 また、同社は浄化剤の製造、開発を自社で行っており、数多くの特許を取得しているのだ。

 では浄化はどのように行うのか。まず、現地の土壌を調査することから始める。土や地下水などのサンプルを採取し、汚染物質や生息する微生物を特定、浄化剤で対応できるかどうかなど、同社所有の室内試験場での試験や現地での試験を行い、検討を重ねる。

「自社で浄化剤の製造、開発を行っているため、現地にもっとも適した浄化剤の配合や製造できるのが強みです」

 使用する浄化剤が決まると、ボーリングで地中に穴を掘り、水に溶かした浄化剤を注入する。汚染状態にもよるが、微生物が汚染物質を分解するのに要する時間は半年~1年。浄化剤の原料は食品材料で、微生物がすべて分解するため残ることはなく、非常に安全性が高く、クリーンに浄化できるのだ。

 ただ、すべての汚染を浄化剤で解決できるわけではない。クライアントが希望する工期や汚染物質の種類によっては掘削をした方が良い場合もある。

「たとえば、土地の一部を掘削で、その他を浄化剤で、というように組み合わせることもできます。土壌汚染というと掘削工事以外にない、と思われている方も多くいらっしゃいます。しかし、掘削以外の選択肢があることを皆様に知っていただき、よりクライアントのご希望に沿った提案をさせて頂きたいと思っております」

 同社の高い技術力や対応力は、日本はもとより海外でも評価され、浄化実績は国内外で500カ所以上にのぼる。

 福岡県でいえば、九州大学箱崎キャンパスの跡地開発で浄化技術を提供。ここで行った浄化方法は、プラントを持ち込み土壌を洗浄。土と汚染物質を分離させて、汚染物質だけを廃棄。土壌の85%を洗浄した土として戻した。環境負荷が低い工法との評価を受け採用されたという。

不動産開発にもメリット

 一般的に汚染された土地は高く売れない。汚染を除去するコストがかかるためだ。しかし、浄化剤による対策は、掘削工事よりコストを抑えられる。

「汚染された土地を安く仕入れて、低コストで浄化、再生することができればビジネスチャンスは広がるはずです。私たちは汚染リスクの評価、浄化、土地活用の提案をワンストップで提供させて頂いています」

 ただ、汚染された土地といっても汚染状態が違う。思ったより浄化にコストがかかってしまうことも考えられる。再開発で重要になるのは浄化によってかかる費用と収入のバランスだ。だが、同社の高い浄化技術を裏付けとした保証を活用し、追加費用をゼロに抑えることができるのだ。

「浄化保証というものです。取り決めた予算内で目標とした土壌汚染対策を達成するもので、追加費用は一切いただきません。事前に費用が確定するため、土地購入の意思決定が可能になるでしょうし、早期に売買交渉を進めることができるため、競合他社より有利に交渉を進めることができます」

 浄化にかかるコストが抑えられるのは売主も同じだ。

 例えば、後継者がいないため工場をたたんで土地を売りたいとする。しかし、汚染されたままでは高く売れない。ならば浄化保証を利用すれば、追加費用もなく汚染の除去が可能で、手元にはある程度のお金が残るというわけだ。実際、そういう相談が増えているという。

 バイオ浄化剤のもっとも優れた点は低コストもさることながら、環境負荷が低いことだ。脱炭素は世界的な流れで、CO2削減に積極的に取り組んでいる企業には投資マネーが流れ込んでいる。エコサイクルのような企業が、今後、世界のトレンドとなることは間違いない。土地の売り手にも買い手にも地球にも優しい技術を持つ同社には今後が期待される。