HOME > 地域ニュース > 【倒産劇を振り返る】 急成長企業と「落とし穴」

【倒産劇を振り返る】 急成長企業と「落とし穴」


■特別情報No.6754号(H21.4.2)他 掲載記事バックナンバーより

 広島支社定例情報会(H20.8.21)、東経情報会(H20.10.28)ほかで経営難を既報の(株)オカダ(広島県福山市卸町1-15、建築工事ほか)が、東経トップニュース(H20.3.23)で既報の通り破産手続開始を申し立てた。驚きを隠せない関係者も多かった倒産劇であるが、その深層には、好事魔多しのごとく予期せぬ“落とし穴”が存在していた。

◆ 老舗金物店が変ぼうし急成長

昭和38年9月、岡田金物店として創業したのが源泉で、ちょうつがいやドアノブなどの建具金物販売業者として基盤を確立していた。時は流れ、平成12年ごろより一般建築工事に着手、以降、その比重が高まり業容は拡大傾向となった。同15年には広島市中区、東京都港区に営業所を開設。売上高は、同17年9月期11億円内外、同18年9月期21億円内外、同19年9月期38億円内外と急激な伸びをみせた。そのほかは詳細割愛するが、総じて決算書上の問題は見受けられない“優良企業”として取引先からは認識されていた。しかし、実はその一方で、不動産開発事業が色濃い影を落としていたのである。

◆ 東京での落とし穴

不動産デベロッパーA社と提携し、福山市神辺町のマンションを受注し平成18年完成。受注高16億円、営業利益1億円という破格の仕事となった。この路線を発展させるべく、子会社・スターラインソリューションズ(株)(以下スターライン)の企画で東京都文京区のマンション事業に着手。スターラインで土地購入(5億円)、当社が建築工事(5億円)で、今年2月に完成させ、A社に11億円で一括売却する予定であった。
しかし、同20年5月A社が実質上破たん状態に。当初、前述の必要資金は、金融会社より7億5,000万円を借り入れ、当社とスターラインが2億5,000万円準備する予定であったが、出口を失ったため、計画は頓挫。結局、金融会社からは4億3,000万円までの調達で終止した上、その差額やスターライン分も当社が調達しなければならいない状態に陥り、ついには完成物件もスターラインが抱えることになってしまった。

◆ 茨城での落とし穴

平成19年8月、A社から茨城県取手市のショッピングモール建設の計画が持ち込まれ、予算総額50億円のうち5億円を当社が出資。しかし、前述の通りA社が実質上破たんしたことで、同計画が頓挫となり、回収が困難となった。交渉の後、建設用地の所有権移転を受け、銀行団とは3億円を返済し、担保を抹消することで略合意。住宅展示場を誘致し、その収益で返済を行うスキームとなった。

◆ 地元・福山で落とし穴

平成19年4月、広島県福山市明神町2丁目の国道2号線沿いに位置する土地約1,700坪をスターラインが取得。大規模小売店を建設し、テナントを誘致、4~5年後に売却して、収益を得る計画があり、ファイナンスは金融会社がつけるという話が提案された。予定通り融資が実行され、同19年9月、物件を7億5,000万円で購入。以降は、建築資金8億円(着手金3億2,000万円、中間金2億4,000万円、竣工時2億4,000万円)の融資を受ける予定となっていた。
しかし、A社が実質上破たんしたことから、当事業計画も4~5年先に返済する予定が、今年5月に一括返済する条件となり、事態は急変。今年1月ごろまでには事業計画を見直し、大手書店・(株)フタバ図書が賃貸内定した時点で、大手商社の子会社が中心となってSPC(特定目的会社)を設立、同社が今年2月上旬に22億円で購入し、金融会社へ全額返済する予定であったが、結局は同計画も頓挫。他金融機関から長期借入金を調達し、金融会社へ返済を行い、フタバ図書からの賃料収入で返済する方向も模索したが、これも思惑通りにはならなかった。

◆ 成長企業の終焉

平成21年3月23日に到来する協力会社等への支払資金1億3,900万円の用意ができず、3月31日の手形決済1億5,000万円も不可能な状態となり、現在の不動産市況では、スターライン所有の不動産売却も難しく、大幅な売却損を覚悟で売却しても、相応額の負債が残ることが明白。今後の見通しが立たないことから“破産”での幕引きとなったのである。
直近、当社の売上高は、建築工事が90%、手すりなど金物設置工事が7.8%、金物販売は2.3%。結果論ではあるが、当社の成長をけん引したのも、倒産の原因かつ引き金となったのも不動産開発事業に絡むものであり、皮肉な事のてん末であったいえよう。(了)

東京経済 広島支社 ka_ka


▶ 注目のニュース

▶ 最新ニュース